□お互いが対立しながら信徒数を増加させてきている創価学会、顕正会等「日蓮正宗系」団体
日本のカルト宗教問題は、何も今にはじまったことではなく、少なくとも日本への仏教伝来以降、いろいろな時代にカルト宗教が出現。宗教vs宗教の戦争、宗教vs権力者の戦争を引き起こしてきたばかりか、多くの人材、尊い人命、貴重な文化遺産を滅失させてきている。江戸時代には日蓮宗不受不施派、明治時代には国柱会等のカルト宗教が出現。大石寺門流は、江戸幕府から禁制宗派にこそならなかったが、加賀藩等では禁制になり、大石寺門流の信者の布教活動によって加賀、尾張、讃岐等で多くの殉教者を出している。
第二次世界大戦の終戦直後から立正佼成会、仏所護念会、霊友会等の新宗教が急速に教線を拡大。1950年代以降は、創価学会の「折伏大進撃」によって日蓮正宗・創価学会信徒が急激に増加。創価学会を支持母体とする公明党が結成されて、創価学会が政界に影響力を行使するようになっていった。1950~70年代のころは、創価学会の「折伏大進撃」によって日蓮正宗信徒の99%が創価学会員という情勢になり、世間では日蓮正宗信徒=創価学会員と言われるようになっていった。そして「日本国民で創価学会から折伏されたことがない人はいない」とまで言われたほど、創価学会の折伏・布教活動は激烈であった。1970年代のころから、日蓮正宗の内部で創価学会vs妙信講、日蓮正宗vs妙信講、日蓮正宗vs創価学会の内紛が勃発。その中から妙信講が顕正会と改名。日蓮正宗から正信会が分派。第一次宗創紛争が終結した後、日蓮正宗の法華講の中に「第二の創価学会」「第二の顕正会」と言われる妙観講が勃興。創価学会以外の顕正会、法華講、妙観講といった「日蓮正宗系」カルト団体が、創価学会の猿まね的強引・執拗な折伏・布教活動を行って、信徒数を拡大して行った。それだけではない。1980年代後半から90年代前半にかけて、オウム真理教が教線を拡大。創価学会の布教の猿まねをして「真理党」なる政党をつくって政界に進出して国会に議席をとろうと謀ったが、結果は全員落選して失敗に終わった。
1990年代に入ると日蓮正宗と創価学会が全面戦争に突入する「宗創戦争」が泥沼化。日蓮正宗、創価学会、顕正会の三つどもえの信者争奪合戦を繰り広げた。「日蓮正宗系」カルト団体の信者争奪戦争で、お互いが疲弊するどころか、逆に公明党は選挙の度に得票数を伸ばし、日蓮正宗の法華講は50万、顕正会は100万人を突破したと宣言するところまで布教を拡大している。「日蓮正宗系」カルト団体はお互いが対立しながら、信徒数だけは増加させてきているのである。
そして2000年代に入ると今度は幸福の科学等の新宗教が勃興。幸福の科学も布教を拡大させ、ここも創価学会の猿まねで「幸福実現党」なる政党をつくって政界進出、国会の議席獲得を謀る。
かつて創価学会の信者は日本国内だけで約1600万人を超えたとされていたが、今や創価学会と対立関係にある日蓮正宗・法華講が50万、顕正会が100万を超えたと称している。「日蓮正宗系」カルト教団は、お互いに対立・抗争をつづけながら、信徒数だけは増加させているのである。
□カルト宗教の被害者が大勢いるのに大きく取り残されてきたカルト宗教被害による苦情の対応
ということは、今まで過去に何度も日本でカルト宗教問題、創価学会問題がマスコミ、国会等でさんざん議論されてきたが、カルト宗教対策はほとんど効果が上がっておらず、カルト宗教による宗教被害は拡大再生産されつづけていると言わざるをえない。日本には、カルト宗教の被害者が大勢いるにもかかわらず、カルト宗教対策が大幅に遅れていると言わざるを得ない。そしてカルト宗教対策が遅れていることによる弊害も現れている。ではなぜこうなってしまったのか。
まず第一に、カルト宗教による宗教被害による苦情の対応が、大きく取り残され、遅れていることがあげられる。これはどういうことなのか。例えば、政治問題でも経済問題でも生活上の問題でも社会問題でも、一般の利用者、市民、消費者からの苦情を受け付けて、適切に対処・処理する公的機関が整備されている。それが消費者庁であり、国民生活センターであり、消費者センターであり、タクシーセンターといった機関である。ところがカルト宗教問題に関しては、カルト宗教の被害者が苦情相談を行い、苦情を公平に、適切に処理する公的機関がない。創価学会や顕正会による強引な折伏・入信勧誘、機関紙セールス等による被害を受けた人が、警察に苦情を持って行くケースがある。警察は、強引な折伏・入信勧誘を行ったカルト信者を強要罪等で捜査をし、時にはカルト信者当人を聴取したり、逮捕したりすることもあるが、所詮、捜査はそこまで。
強引な布教で顕正会本部に警察の捜査の手が伸びたことはあったが、強引な布教の号令を出している顕正会会長をはじめとする最高幹部の刑事責任が追及されたことはないし、顕正会の強引な布教活動そのものが、おさまったり、弱体化したこともない。どれだけ顕正会の信者の強引な布教で逮捕者が出ても、顕正会の宗教法人としての責任が問われたことがない。
創価学会の強引な布教の場合、創価学会員の投票干渉事件に関しては逮捕者が出ているが、強引な勧誘で逮捕者が出た事例は皆無である。1999年の「朝まで生テレビ」の討論で、創価学会員の犯罪が話題に出たとき、公明党議員が警察当局に『お願い』に来ることを自民党の平沢勝栄衆議院議員が暴露したとき、公明党の北側一雄衆議院議員が「そんなことは、当たり前だ」と声を荒げて反論したことがあった。どうやら、公明党国会議員の行政当局への「干渉」「介入」によって創価学会が庇護されていることを強く示唆する一件であった。
世間一般のカルト宗教被害者の苦情相談を適切に処理する公的機関が存在しないため、「アンチ日蓮正宗・アンチ創価学会・アンチ顕正会・正信会」略称名「アンチ日蓮正宗」に創価学会、顕正会、法華講等「日蓮正宗系」カルト教団に関する苦情相談が多数寄せられている。この他、単称「アンチ創価学会」、単称「アンチ顕正会」等々にも「日蓮正宗系」カルト教団に関する苦情相談が多数寄せられている。これら苦情相談の内容からして、「アンチ日蓮正宗」「アンチ創価学会」「アンチ顕正会」に寄せられてきている苦情相談は、これでもまだほんの氷山の一角であり、実際には世間一般には「日蓮正宗系」カルト教団に関する苦情が無数にあると思われる。1995年の宗教法人法改正の時、カルト教団に関する苦情相談を処理する「宗教近代化センター」設立構想が検討されたことがあったが、立ち消えになった。カルト宗教を規制するカルト宗教取り締まり新立法を制定し、その中で、国の行政機関から独立した「カルト宗教苦情処理センター(機構)」を新たに設立すべきなのである。
(創価学会本部別館)
(顕正会本部)
(大石寺奉安堂)
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